日報アプリの無料版、どこまで使えますか?

「日報 アプリ 無料」で調べると、おすすめを並べた記事がいくらでも出てきます。ただ、実際に現場へ入れてみると、つまずくのはたいてい機能ではありません。人数と、項目です。私は日報アプリを売っていません。自分の現場で使うために組んで、使われたものも、使われずに消えたものも見てきた側です。ここでは製品を並べるかわりに、選ぶ前に決めておくことを書きます。

日報アプリの無料版は、どこまで使えますか?

結論、少人数で試すところまでは、たいてい無料で足ります。壁になるのは機能ではなく、人数項目の2つです。

理由は、無料版が無料でいられる仕組みにあります。無料の日報アプリは、書く項目があらかじめ決められています。項目が決まっているから、誰にでも同じ画面を配れて、安く提供できます。つまり「無料」の対価として払っているのは、お金ではなく"自分の形に合わせる自由"です。

具体的には、こういう分かれ方をします。決まった項目が自分の現場に合っているなら、無料のまま何年でも使えます。合っていないと、足りないぶんを備考欄に全部書くことになります。ここが分岐点です。備考欄に押し込まれた記録は、あとから読み返せません。日報を続ける値打ちは「あとで見返せること」なので、そこが崩れた時点で、無料かどうかの話は意味を失います。

無料でおすすめのものは、どれですか?

結論、おすすめから探すと、外しやすいです。

理由は、日報が業種ごとにまったく別のものだからです。同じ「日報」という名前でも、工事現場のそれと営業のそれでは、書く内容も、読む人も、読む目的も違います。他社にとっての正解が自分の正解になりにくい。これは製品の善し悪しではなく、比べ方の問題です。

具体的には、製品名を比べる前に、この1問だけ先に通してください。「書く項目を、自分たちで変えたいですか?」

変えなくていいなら、その業種に特化した日報アプリが早いです。用語も画面もその業種向けに整っているので、教える手間が要りません。変えたいなら、表計算ソフトを土台にして自分の形を作るほうが、長い目で見て安くて速いことが多いです。いま使っている表をそのまま入力画面にする方法は別の記事に書きました。この分かれ道を通ってから製品名を見ると、候補が一気に減ります。

作業日報・営業日報・飲食店の日報で、選び方は変わりますか?

結論、変わります。書く目的が違うからです。

理由を、3つ並べると分かりやすいです。

作業日報は、「何を、どれだけやったか」の証拠です。あとで請求や工数の根拠になるので、時間と数量が正確に残ることがいちばん大事です。文章はむしろ短いほうがいい。
営業日報は、「次に何をするか」を決めるためのものです。行った先の記録そのものより、次の一手が書ける欄があるかが効きます。ここが無い日報は、書くだけ書いて誰も使いません。
飲食店の日報は、売上と客数が中心です。文章より数字で、しかも自動で足し算されるかが効きます。手で電卓を叩き直しているなら、そこが本当の負担です。

具体的には、選ぶときは機能一覧を見ずに、いま書いている日報を1枚持ってきて、その項目が全部入るかを見てください。入らない項目が2つ以上あるなら、その製品は合っていません。業種の枝を無視して選ぶと、たいてい2週間で使われなくなります。

運転日報も、同じ考え方で選んでいいですか?

結論、ここだけは、考え方が逆になります。

理由は、運転日報の中身が法令で決められている場合があるからです。貨物自動車運送事業を行う場合、貨物自動車運送事業輸送安全規則 第8条で運転日報に記録する内容が定められていて、使用した車両の登録番号、乗務の開始と終了の地点や日時、主な経過地点、運転を交替したときはその地点と日時、といったものを残す必要があります。保存も最低1年と定められています。

具体的には、ここでは「項目を自由に変えられること」が利点になりません。むしろ、必要な項目が最初から漏れなく入っていることが選ぶ基準になります。自分で組む場合も、まず法令の項目をすべて満たしてから、自社の都合の欄を足す順番になります。
※ 自社が対象になるかどうか、また保存年数の扱いは、事業の形態によって変わります。所轄の運輸支局や社会保険労務士など、正式に判断できる窓口で必ず確認してください。ここに書いたのは、選び方の考え方が変わるという話までです。

工事・現場の日報では、何に気をつけますか?

結論、写真です。ここが工事・現場の日報の本体で、最初に詰まる場所でもあります。

理由は、現場の日報が文章ではなく写真で成立しているからです。やったことを言葉で説明するより、撮った1枚のほうが早くて確かです。ところが無料版では、1件あたりに付けられる写真の枚数や、保存できる容量に上限があることが多いです。文字数ではなく写真で先に頭を打ちます。

具体的には、試す前に「1日に何枚撮るか」を数えてください。1現場で10枚撮って、月に20日動くなら、月200枚です。この数字を持ってから容量の条件を見ると、続けられるかどうかが最初に分かります。使いはじめて3ヶ月目に容量が尽きるのが、いちばん困る止まり方です。そのころには、もう戻れないくらい記録が溜まっています。

無料のまま続けられる場合は、ありますか?

結論、あります。条件は2つだけです。

ひとつは、使う人が数人までであること。もうひとつは、書く項目が、これから変わらないこと。この2つが当てはまるなら、無理に有料へ移る理由はありません。道具を増やすほど良くなるわけではないからです。

具体的には、判断の分かれ目は金額ではなく「これから項目が増えるか」です。人が増える予定がある、あるいは現場ごとに書くことが違う——この場合は、早い段階で自分たちの形に合わせられる土台へ移したほうが、あとの引っ越しがずっと小さくて済みます。記録が2年ぶん溜まってからの引っ越しは、本当に重いです。

まとめ

日報アプリの無料版で見るべきなのは、機能の数ではありません。使う人数と、自分の現場の項目が入るかどうか。この2つだけです。そして業種ごとに、必要なものが違います。作業日報は時間と数量、営業日報は次の一手、飲食店は数字の自動集計、工事・現場は写真の容量。運転日報だけは法令の項目が先に来ます。

私が現場で見てきたかぎり、日報が続かない理由は、いつも道具ではありませんでした。書く項目が現場と合っていなかったか、書いたものを誰も読み返していなかったか、そのどちらかです。誰も読んでいない報告書を1年ぶん数えてみた話も別に書いています。

いま使っている日報を1枚見せていただければ、無料版で足りるのか、自分の形に組んだほうがいいのかを、いっしょに見るところから始められます。まだ何も決まっていない段階で大丈夫です。