シフト作成ソフトを入れたのに、結局は手で直しているのはなぜですか?

「シフト作成 ソフト」で調べると、無料のもの、買い切りのもの、AIで自動作成できるというもの、介護向け、病院向けと、いくらでも出てきます。どれかを入れれば終わると思って選んだのに、出てきた表を結局また手で直している——そういう話をよく聞きます。20施設・30名分のシフトを毎月自分で組んでいた立場から、ソフトで確実に消える工程と、どうしても人に残る工程を分けて書きます。エクセルのままでいい場合も、正直に書きます。

シフト作成ソフトを入れたのに、結局は手で直しているのはなぜですか?

結論、ソフトは「登録された決まりごと」しか見ないからです。頭の中にある条件は、ソフトからは見えていません。

理由は、シフトを組む仕事が二つに分かれているからです。ひとつは、条件を全部満たす組み合わせを探す作業。もうひとつは、条件を決める作業。ソフトが代わりにやってくれるのは前者だけです。ところが現場でいちばん時間を食っているのは、たいてい後者——「あの二人は同じ日に入れない」「今月はあの人に無理をさせられない」といった、口に出したことのない条件のほうです。これが登録されていないまま組ませると、出てきた表は条件を半分しか満たしていません。だから、また手が出ます。

具体的には、入れたのに続かなかった、という話にはだいたい同じ形があります。ソフトを選ぶところから始めて、決まりごとを書き出さないまま使いはじめた。順番が逆です。決まりごとが外に出ていれば、どのソフトでもそれなりに動きます。逆に頭の中のままなら、どれだけ良いソフトでも手直しが残ります。

無料のソフトと、買い切りのソフトでは何が変わりますか?

結論、変わるのは「登録できる決まりごとの幅」と「人数の上限」です。見た目や使いやすさより、ここで決まります。

理由は、シフトの難しさが人数ではなく条件の数で増えるからです。10名でも、夜勤の間隔と資格の枠と相性の条件が絡めば、手で組むのは重くなります。無料のものは、希望を集めて表にするところまでは十分に使えます。有料や買い切りのものは、その条件をどこまで登録しておけるかの幅が広い。だから条件が多い現場ほど、有料側の価値が出ます。

具体的な目安を書きます。10名くらいまでで、決まりごとが少ないなら無料の範囲で困りません。30名を超えて、資格や組み合わせの条件が絡みはじめると、登録できる幅のほうが効いてきます。ただし、これは「30名になったら買う」という話ではありません。30名になる前に、決まりごとを書き出しておくという話です。

AIでシフトを自動作成できると聞きましたが、本当ですか?

結論、半分は本当です。ただし、AIが効くのは多くの人が想像している場所とは違います。

理由は、AIが得意なのが「決まった形になっていないものを読むこと」だからです。LINEで一人ずつ届いた希望、紙に書かれた希望表の写真。こういうバラバラのものを、表の形に直すところは実際に速くなります。いっぽう、条件を全部満たす組み合わせを探す部分は、AIというより計算の仕事で、シフトのソフトが以前からやってきたことです。ここは新しくありません。

具体的には、機械に渡せない一手が最後に残ります。「今月はあの人に無理をさせない」「新人はこの人と組ませたい」。これは条件というより判断で、書き出しきれません。だから「全部を自動で作ります」という言い方は、現場では成り立ちません。減らせるのは、希望を読み取って打ち込む工程と、人が抜けたときに組み直す工程です。そこだけで十分に大きいです。実際にどれくらい変わるかは、こちらに書いています

介護や病院のように決まりごとが多い現場でも使えますか?

結論、使えます。ただし、入れる前にやることがあります。

理由は、こうした現場ほど条件が口伝えで回っているからです。夜勤の間隔、有資格者を何人置くか、経験の浅い人を一人にしない、組み合わせを避ける人がいる。どれも大事な条件ですが、書かれていないことが多い。書かれていない条件は、ソフトからは存在しないのと同じです。

具体的には、順番はこうなります。まず条件を紙に書き出す。次に、その条件が全部登録できるソフトかどうかで選ぶ。この順にすると、出てきた表がそのまま使えます。逆にすると、条件を登録できないソフトを選んでしまい、毎月それを手で埋めることになります。書き出す作業は数時間で終わります。毎月の手直しに何時間もかけているなら、そちらのほうが安く済みます。

エクセルのままでいい場合もありますか?

結論、あります。人数が10名くらいまでで、毎月の顔ぶれと条件がほとんど変わらないなら、エクセルのほうが速いことが多いです。

理由は、表計算ソフトが「決めた手順どおりに動く」道具として優秀だからです。人が条件を覚えていて、毎月同じ形に埋めるだけなら、専用のソフトを覚え直すコストのほうが高くつきます。請求書の自動作成でも同じ線引きになります——決まった形から作るなら表計算ソフト、バラバラの文章から起こすならAI、です。

具体的には、エクセルから移る理由になるのは三つだけです。ひとつ、希望を集めるところで手打ちが発生している。ふたつ、人が抜けたときの組み直しに時間がかかっている。みっつ、作れるのが社内で一人しかいない。このどれも起きていないなら、無理に変える理由はありません。逆に、みっつめが起きているなら、それは時間の問題ではなく引き継ぎの問題なので、早いほうがいいです。

うちは、何から決めればいいですか?

結論、ソフトを選ぶ前に、いまの決まりごとを紙に書き出すところからです。

理由は、そこが唯一、どのソフトを選んでも無駄にならない作業だからです。書き出したものは、ソフトを変えても、担当が変わっても残ります。逆にソフトから選ぶと、決まりごとが登録できないと分かった時点で選び直しになります。

具体的には、この順番です。①いま組むのに月何時間かかっているかを数える。②頭の中の決まりごとを紙に書き出す。③希望を集めるところで手打ちがあるか確かめる。④人数と条件の数で、無料で足りるか幅が要るかを決める。⑤まず希望を集めるところだけ変えて、一か月そのまま回す。全部いっぺんに変えると、たいてい元に戻ります。一つ消して、戻らないことを確かめてから次へ。急がないほうが、結局は早いです。

まとめ

シフト作成ソフトで消えるのは、組み合わせを探す時間です。消えないのは、条件を決める時間と、最後の判断です。だからソフト選びの前に、条件を外に出しておくかどうかで結果が変わります。

何から書き出せばいいか分からない、という状態からで大丈夫です。先月のシフト表を1枚持ってきていただければ、そこから条件を拾い出すところをいっしょにできます。何をしたいか決まっていなくても、話したいだけでも構いません。