「ここ、ふつう拭くよね?」が通じない問題

「ここ、ふつう拭くよね?」が通じない問題

清掃の現場で、「ここ、ふつう拭くよね?」というやりとりがよく出ます。これ、けっこう揉めるんです。ふつうの定義が、人によって全然違うから。

「ふつう」は、人によって違う

ベテランのスタッフが言う「ふつう」と、新人さんが思う「ふつう」と、お客さまが期待する「ふつう」は、それぞれ別のものです。

ベテラン「ここ、ふつう拭くよね?」
新人「え、そこは床清掃の範囲じゃないと聞いていました」
お客さま「私はそこも含まれていると思っていました」

3つ全部、本人たちにとっては「ふつう」なんです。ぶつかってから揉める。

言葉で説明すると、抜ける

最初は、現場ごとの作業範囲を、Wordで文章で書いていました。

「玄関ホールの清掃を行う。床、ドアガラス、ドアフレーム、自動ドアレール、エントランスマット周辺を含む。」

こう書いてあっても、「自動ドアレール」を新人さんが「レールの上面」と読むか「レールの溝の中まで」と読むかで、結果が変わるんですよね。

言葉で書くだけだと、人によって解釈が違ってしまう。

箇所別チェック表に変えた

それで、文章をやめて、箇所別チェック表に変えました。

A4の紙に、その現場の写真と、丸印を打った箇所のリスト。「①入口マット周囲30cm、②自動ドア溝、③ガラス全面、④ガラス下のステンレス枠」と番号で振る。

これを現場ごとに作る。20施設あるので、20種類。

作るのが大変なんです。1施設につき2時間くらいかかっていました。

AIに、写真から作らせる

いまは、現場の写真を10枚AIに渡して、こう頼んでいます。

「この施設の玄関エリアで、清掃の対象になる可能性のある箇所を、写真の中から番号付きで全部出して。漏れがないように。」

すると、自分が思いつかなかった箇所まで、20〜30個ほど挙げてくれます。

そこから、自分が「これは対象」「これは対象外」と振り分ける。所要時間は20分です。2時間が20分。

振り分けた結果を、もう一度AIに渡して、「これをA4のチェック表にして」と頼む。プリントできる体裁になって戻ってくる。

「ふつう」が、現場の数字になった

このチェック表を作ってから、現場での「ふつう拭くよね?」が、ほぼ消えました。

番号で会話するようになるんです。「①と②は終わった」「③のステンレス枠、ちょっとくすんでる」って。

言葉のあいまいさが、数字に変わる。すると、新人さんもお客さまも、おなじ風景を見ている状態になります。

「ふつう」を捨てると、ととのう

仕事の中で「ふつう」「ちゃんと」「いい感じに」みたいな言葉が出てきたら、たぶんそこに事故の芽があるんですよね。

それを、人ごとに違う解釈をされないかたちまで分解する。番号にするとか、写真に丸を打つとか、チェック項目にするとか。

AIは、その「あいまいさを分解する」作業を、いちばん得意としてくれる相手でした。

ふつうをやめて、現場の言葉を数字に置き換えるだけで、お互いの「思ってたのと違う」が、ずいぶん減ります。これが、ととのえる屋がいちばん大事にしている仕事の進め方かもしれません。

清掃やバックヤードの仕組みを、もう少しととのえたい方へ。
「うちの現場はこんな感じで」と、一言だけ送ってください。
仕組みの話から、ご一緒します。

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